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Firebase Hostingのリライトをローカルでエミュレートするプロキシ

Firebase Hosting にはリライトという機能があって、設定ファイル(firebase.json)を書くことで例えば

  • 全てのパスを /index.html へ向ける (SPA などで使う)
  • /items/1234 へのリクエストを /items/id.html へ向ける
  • /api/get_item へのリクエストを Cloud Functions の get_item 関数の HTTP トリガへ向ける

といったことが実現できます。

また cleanUrls 属性を使用することで URL から .html 拡張子を取り除くことができます。/page へのアクセスは Hosting にアップロードされた /page.html のファイルを取得するようになり、/page.html へのアクセスは /page へ 301 リダイレクトされるようになります。

これらの挙動はシュッとしたウェブアプリを作るためには大変便利でよく利用しますが、Firebase 本番環境へデプロイされたアプリケーションでしか効きません。本番環境では /items/1234/item/id.html を返してくれるけど開発環境では /item/1234 は 404 になるといったつらみが生じます。

https://twitter.com/morishin127/status/1330402595337330690

rewriteproxy#

そこで開発環境でもリライトと cleanUrls の挙動を再現してくれるプロキシを作りました。お手元の firebase.json を読み込んで動作します。

リポジトリはこちら。

Go の標準ライブラリにある httputil.ReverseProxy を使って書いたシンプルなリバースプロキシになっています。 使い方はこんな感じ。

$ rewriteproxy \
  --port=3000 \
  --firebase-json=/path/to/firebase.json \
  --web-app-url=http://localhost:1234 \
  --cloud-function-base-url=http://localhost:5001/your-project-id/us-central1

--web-app-url はローカルで起動したウェブアプリの URL です。webpack-dev-server なら http://localhost:8080 だったり、parcel なら http://localhost:1234 だったりするでしょう。--cloud-function-base-url はローカルで起動した Cloud Functions Emulator の URL を指定します。Firebase プロジェクトの初期状態で functions/ 以下で yarn run serve を叩くと立ち上がるやつです。

#

パスの書き換え#

例えば

/items/1234 へのリクエストを /items/id.html へ向ける

という設定を firebase.json に書いた上で、上記コマンドでプロキシを起動しブラウザから http://localhost:3000/items/1234 へアクセスすると、ウェブアプリの http://localhost:1234/items/id.html でホストされているファイルがブラウザに返るようになります。

rewrite path

Cloud Functions#

/api/get_item へのリクエストを Cloud Functions の get_item 関数の HTTP トリガへ向ける

という設定を firebase.json に書いた上で http://localhost:3000/api/get_item へアクセスすると、ローカルの Cloud Functions エミュレータの http://localhost:5001/your-project-id/us-central1/get_item が実行されます。

cloud_functions

cleanUrls#

cleanUrls: true にしていると .html 無しの URL を .html 付きにしてウェブアプリへプロキシしてくれます。

clean_urls1

逆に .html 付きでアクセスすると .html 無しの URL へ 301 リダイレクトした上で先述のものと同じ挙動をします。

clean_urls2

Root path#

また / へのアクセスはウェブアプリの /index.html へプロキシされます。

root path

お手元の Firebase プロジェクトへの組み込み方#

プロジェクトのディレクトリには functions, public ディレクトリがあると思いますが同階層に dev ディレクトリ(名前はなんでもいい)を用意して中で yarn add -D concurrently だけしておきます。

PROJECT_ROOT
├── firebase.json
├── functions # Cloud Functions の実装
├── public # Hosting の実装
└── dev
    ├── package.json
    ├── setup
    ├── start
    └── yarn.lock

start スクリプトを用意して中身をこんな感じにします。URL やポート番号はお好みのものにしてください。自分はよく parcel dev サーバを 1235 で起動して rewriteproxy を 1234 で受けます。これで開発時には dev/start を叩けばウェブアプリの dev サーバと Cloud Functions エミュレータと rewriteproxy が一緒に起動します。

#!/bin/sh -eux

cd "$(dirname "$0")"

./node_modules/.bin/concurrently --kill-others \
  -n public,functions,proxy \
  -c cyan,yellow,blue \
  "cd ../public && yarn run dev" \
  "cd ../functions && yarn run serve" \
  "$(go env GOPATH)/bin/rewriteproxy --firebase-json=../firebase.json --port=1234 --web-app-url=http://localhost:1235 --cloud-function-base-url=http://localhost:5001/YOUR-FIREBASE-PROJECT-ID/us-central1"

ちなみに setup はこんな感じにしておくと便利だと思います。

#!/bin/sh -eu

cd "$(dirname "$0")"

# dev
cd ../dev
yarn install
go get github.com/morishin/rewriteproxy
cd -

# public
cd ../public
yarn install

# functions
cd ../functions
yarn install

よければご利用ください#

https://twitter.com/morishin127/status/1334681881829261312

Firebase Hosting のリライトや cleanUrls を使ったウェブアプリを開発されている方には便利かと思うのでよかったらお使いください。

この rewriteproxy の実装はミニマムで、 Firebase Hosting のリライトに備わっている機能のうち自分がよく使う「パスの書き換え」「Cloud Functions へのプロキシ」「.html を消す」という機能しか実装されていません。その他の機能もローカルで使いたいという方は issue を立てたり実装して PR を出したりしていただければ幸いです。

https://twitter.com/morishin127/status/1410135081687998465