3行#

• Rails アプリの開発において、手元の開発環境では Rails アプリのみをホストマシン上で実行、MySQL や Redis などのミドルウェア類は Docker コンテナ (Docker for Mac) 上で実行するという構成が好き
• Rails アプリで MiniMagick を使おうとすると Rails アプリを実行している環境に ImageMagick をインストールする必要があるが、開発するアプリケーションによって利用したいバージョンが異なるかもしれないし、開発者の OS によってインストールの手順も異なったりするし、そもそもローカルマシンの環境を汚したくない
• ImageMagick をインストールした Docker コンテナを用意し、MiniMagick gem からそれを利用させるようにした

実装#

ディレクトリ構成#

ふつうの Rails アプリの構成に、アプリケーションを実行するスクリプト dev/start と docker-compose.yml を追加し、MiniMagick が Docker コンテナを利用するための設定として config/initializer/minimagick.rb を追加している。

.
├── app
︙
└── config
│  └── initializers
│      └── minimagick.rb
├── dev
│   └── start
├── docker-compose.yml
└── tmp
    └── images

config/initializers/minimagick.rb#

MiniMagick は内部でシステムの ImageMagick コマンドを実行しているがそのコマンドに prefix を付加できるオプションが用意されており、ここに docker exec <コンテナ名> を指定することで MiniMagick から Docker コンテナの ImageMagick を利用するようにしている。 https://github.com/minimagick/minimagick/blob/d484786f35e91f107836d3c86aca61d50a35820b/lib/mini_magick/tool.rb#L126

require "mini_magick"

if Rails.env.development?
  ::MiniMagick.configure { |config|
    config.cli = :imagemagick
    config.cli_prefix = %w[docker exec imagemagick]
  }
end

docker-compose.yml#

MySQL 等のミドルウェアと一緒に ImageMagick 用のコンテナも立てるようする。このコンテナは立ちっぱなしにしておいて、docker exec imagemagick <ImageMagickコマンド> のように実行するようにしている。ImageMagick が入った Docker イメージは Docker Hub で適当に検索して出てきたやつを使った https://hub.docker.com/r/v4tech/imagemagick

MiniMagick は扱う画像ファイルの置き場所に Dir.tmpdir 、つまり Linux では環境変数 TMPDIR で指定されたディレクトリを利用するので、ホストマシンのそのディレクトリを imagemagick コンテナにマウントして共有する必要があり、volumes にその旨を記述している。

version: '3.7'
services:
  db:
    image: mysql:5.7
    environment:
      MYSQL_ROOT_PASSWORD: hoge
      MYSQL_USER: hoge
    ports:
      - "3307:3306"
  imagemagick:
    container_name: imagemagick
    image: v4tech/imagemagick
    volumes:
      - $TMPDIR:$TMPDIR
    tty: true
    command: "/bin/ash"

dev/start#

環境変数 TMPDIR にパスを指定しつつコンテナ群と Rails アプリを起動するスクリプト。

#!/bin/sh -eu

SCRIPT_DIR=$PWD/$(dirname $0)
ROOT_DIR=$SCRIPT_DIR/..
TMPDIR="$ROOT_DIR/tmp/images" # imagemagick コンテナと共有するために TMPDIR のパスを明示的に指定

docker-compose up -d
bin/rails server

以上の実装で MiniMagick は Docker コンテナ内の ImageMagick を利用するようになり、ローカルマシンに ImageMagick をインストールせずに済む ☺️

なおこれは Rails アプリをホストマシンで動かしたい開発環境に限った話で、本番環境で Rails アプリを Docker コンテナとして実行している場合は普通にそのコンテナに ImageMagick をインストールしていればよい。